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三井住友海上採用大学の基本情報

三井住友海上採用大学(以下、MS&AD採用大)は、損害保険業界大手・三井住友海上が主催する学生向けリクルーティングプラットフォームです。

国内外で約4万人の社員を抱える同社は、次世代を担うタレントを早期に発掘・育成するため、大学別説明会から一歩進んだ“採用大学”モデルを2019年にスタートさせました。

特徴は、従来のマス採用では得にくかった部門別のリアルな業務体験と、若手から経営層までの階層横断ネットワーキングを同時に提供する点にあります。

入学条件は専攻不問・学年不問。

エントリー後に付与される「キャンパスID」を通じて、オンライン講義・対面ゼミ・ケーススタディなど約30講座のカリキュラムを自由に受講可能です。

修了者には本選考で使えるスキップパスが付与されるため、既に志望度が高い学生にとっては大きなアドバンテージとなります。

2024年度は全国で延べ1万2,000人が参加し、そのうち1,200人がスキップパスを取得。

採用大学経由の内定者は総合職全体の37%を占めるまでに拡大しています。

選考フローとエントリー方法

MS&AD採用大の選考は「プレエントリー」「講座受講」「スキップパス取得」「面接(2回)」「最終面談」の五段階で構成され、通常ルートと比べて書類審査と一次面接が統合されているのが特徴です。

プレエントリーは公式サイトから基本情報を登録するだけで完了し、登録後72時間以内にオンライン説明会の日程案内が届きます。

講座受講フェーズでは、必修2科目(損保概論・マーケットビジョン)と選択1科目を履修し、各科目70点以上でスキップパスが発行されます。

受講期間は最短2週間、最長6カ月。

合格者はエントリーシート提出が免除され、人工知能を活用した動画面接に進みます。

動画面接では、6問に対し各1分で回答を録画しアップロード。

AIが表情・声量・言語構造を解析し、コミュニケーション力・ロジカルシンキング・協調性をスコアリングします。

スコアが基準に達すると、人事と現場マネジャーによる60分のパネル面接へ。

ここで学生時代の経験と損保ビジネスへの興味を深掘りされ、通過者は役員クラスとの最終面談に招かれます。

内定迄の最短期間はエントリーからわずか1カ月で、他社選考と並行しやすい点も学生に好評です。

採用で求められる人物像

三井住友海上が掲げる採用キーワードは「未来共創力」。

具体的には①変化を楽しむ好奇心②顧客本位で考え抜くロジック③多様性を束ねるリーダーシップの三軸です。

まず好奇心については、海外事業比率が3割を超える同社の成長戦略に直結するため、語学力よりも未知領域に飛び込む姿勢が測られます。

次にロジックでは、保険数理だけでなく新規事業として伸長中のサイバーセキュリティ保険や気候変動リスク解析など、複雑なデータを顧客目線へ翻訳する能力が重視されます。

そしてリーダーシップは、若手のうちからプロジェクトマネジメントを任せる文化に適応できるかが焦点。

グループディスカッションでは「対話を促す助言」「論点整理」「時間管理」の三役を柔軟に担えるかがチェックされるため、自己主張一辺倒より場の空気を読むバランス感覚が合否を分けると言われます。

インターンシップとOB・OG訪問

採用大学で人気なのが、3日間の短期集中インターン「MS SUMMER CHALLENGE」。

初日はリスクマネジメントゲーム、2日目は支店同行と顧客ヒアリング、3日目にグループ提案を役員へプレゼンする実践形式です。

参加者の7割が「損害保険のイメージが覆った」と回答するほどリアルな経験が得られるほか、優秀チームには本選考直結パスも授与されます。

また、OB・OG訪問はオンラインマッチングシステム「MyMS」で月500件以上が成立。

卒業大学・部活・留学先など詳細フィルターで先輩を選べ、訪問後にフィードバックを入力すると追加ポイントが付与され講座受講料が割引になる仕組みも導入されています。

これにより学生と社員の接点が年間延べ1万回を超え、採用後のミスマッチ低減につながっています。

キャリアパスと研修制度

入社後は3年間のジョブローテーションが基本で、営業・商品開発・リスクコンサルなど5〜6部署を経験。

4年目に専門領域を選択し、海外駐在やMBA留学に挑戦する「グローバルグレード」か、国内市場深耕を担う「プロフェッショナルグレード」の2系統に分岐します。

新人研修は延べ800時間と業界最長クラスで、AIアジャイル演習やドローン損調実習など先端プログラムが充実。

加えてDX人材育成スクール「MS-Digiskills」では、Python基礎からTableau実装までをeラーニングで学べ、修了すれば社内公募案件へ応募可能です。

キャリア面談は年2回、人事と上長の三者面談で将来像を描く仕組みで、社内異動は平均2.8年に一度。

こうした透明性の高い制度が、若手の離職率3%という低水準を支えています。

給与・福利厚生・働き方改革

初任給は総合職28万円、地域型25万円(いずれも月給)。

賞与は年2回+業績連動インセンティブで、30歳時点の平均年収は約670万円です。

住宅手当はエリアに応じて最大月7万円を支給し、リモート勤務者には通信費補助として一律3,000円が加算されます。

福利厚生の目玉は「選択型 Cafeteria Plan」で、年間10万円のポイントを旅行・学習・育児など12カテゴリで自由に利用可能。

働き方改革では、全社員にノートPCとスマートフォンを貸与し、在宅率は平均55%。

フレックスタイムはコアタイムなしのスーパーフレックス制に移行済みで、昨年度の月平均残業は18.6時間と業界平均より10時間以上短縮しています。

加えて男性育休取得率は72%に達し、2024年には経産省の健康経営優良法人ホワイト500にも認定されました。

内定者の体験談と合格のコツ

2025年卒の内定者Aさん(早稲田大)は「採用大学のケース課題で、台風リスクに備えた地域連携策を提案した経験が面接で高評価につながった」と語ります。

Bさん(一橋大)は動画面接で手元メモを貼り過ぎ表情が硬直しAIスコアが伸び悩んだが、再録機能で改善できた点を強調。

共通しているのは、損保の枠にとらわれず“社会課題をどう解くか”を語れたかどうかです。

また最終面談では志望動機より「入社後やりたい事業」の具体性が重視されるため、保険×デジタルや保険×地方創生など複合キーワードを用いて自分のビジョンを描く準備が不可欠。

内定者の多くがインターン参加者ですが、参加できなかった場合でもOB訪問レポートや個別講座の修了証をポートフォリオ化し、一貫した学習姿勢を示すことでカバーしています。

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選考で気をつけるべきポイント

最大の落とし穴は「保険は安定業界」という旧来イメージに寄りかかった自己PRです。

同社はDX・海外展開を加速しており、変革へのコミットメントを示さないと即座に評価が下がります。

またESは字数制限が少ないぶん、一文が長くなりがちなので〈結論→根拠→学び〉の三段ロジックを1段落150字以内で繰り返すと読みやすさが格段に向上。

動画面接では目線がカメラから左右2cm以上ずれるとAIが“視線逸らし”と認識し減点するため、Webカメラの位置調整は必須です。

グループディスカッションでは進行役を避ける学生が多いなか、あえてファシリを担い議論を要約する姿勢が高く評価される傾向があります。

質問と回答コーナー

Q1:地方大学でも採用大学に参加できますか?
オンライン講座は全国どこからでも受講可能で、年に2回地方開催ミニゼミも設けています。

Q2:理系ですが活躍できますか?
データサイエンス部門や商品開発部門で理系出身者の比率が年々増加しており、歓迎されています。

Q3:海外駐在のチャンスは?
入社4年目以降に自己申告制度を通じて応募可能。

近年は東南アジア・欧州の拠点が人気です。

Q4:面接で英語は必要?
最終面談でビジネスレベルの英語質疑が一部行われますが、TOEIC700点程度あれば対応可能です。